こんにちは、ライブドアブログ編集部です。

先日、著書『殺さない彼と死なない彼女』の映画化発表があった「世紀末絵日記」管理人・世紀末さんに、ファンの皆様にいち早く情報をお届けするべく、インタビューをさせていただきました。

同じく公式ブロガーであり、自伝的コミックエッセー『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の実写映画が公開中の「♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です」管理人・歌川たいじさんもお招きして、映画原作者対談という形でいろいろと語っていただきましたので、ぜひお楽しみください! 最後に読者プレゼントもあります♪


映画化は運じゃない。世紀末さんのような話は誰にも書けない


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――ブロガー試写会で「母さんがどんなに僕を嫌いでも」をご覧になってどうでした?

世紀末:いや、ほんとすごかったです。エンドロールで放心状態というか……

歌川:ありがとう。「母さんがどんなに僕を嫌いでも」は自伝的作品だから、あまりにも自分のことすぎて、なんかね、最初の試写を見た時にこの映画が良いのか悪いのか全然分からなかったんです。あとほら、映画で作った絵だから自分の中の記憶とは当然違うわけじゃない? だからそういう家じゃなかったとか、そういう服はあまり着なかったとか、そういうことばっかり頭にチラついて(笑)

――家のセットもですかね?(笑)

歌川:そうですね、実際の家とはだいぶ違っていました。ちょっとゴージャスになってましたね(笑)

世紀末:(笑)

――印象に残ったシーンはありましたか?

世紀末:あー、やっぱり、ばあちゃんの「『僕はブタじゃない』って言って」のシーンが印象に残りました。

歌川:監督や脚本家、プロデューサーとも、どうやったら刺さる場面になるか、自分なりに意見を述べた部分でした。制作陣のみなさん、ちゃんと聞き届けてくださって、納得いくところに着地できたと思っています。

――試写会でのあいさつを自分がやる姿を想像できました?

世紀末:それを想像しちゃうと思ったんですけど、全然できなくて。映画が終わったあとに歌さんがトークで出て来たんですけど、すごく明るくて。話をしてくれてるのがなんかうれしくなっちゃって、もう「歌さんっ!!!」って思いながらただただ見ちゃいました。あの映画を見た後でブログを初めて見た人は歌さんの幸せな日常が見れてすごくうれしいと思います。

歌川:ありがとうございます。(うるうる)

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歌川さんのブログ記事:『それはいちばん茶化しちゃだめ』より

世紀末:なんか、私の本もあとがきで私が遺書みたいなことを書いちゃったので、そのあとで私と担当編集さんのほのぼのしたやり取りを見て安心したっていう方が結構多くって。だからそれと同じように、今回初めて映画を見た人は歌さんのブログを見に行って安心してほしいって思います。

――世紀末さんはもともと映像化したいと思っていたんですか?

世紀末:私、ホント、本になる事も考えてなかったんで。運が良いんですよ。

歌川:あのね。否定するわけじゃないんですけど、運が良いんじゃない。世紀末さんのような話は誰でも書けるようでいて、誰にも書けない。

世紀末:あ〜も〜ホントに! なんて優しいんだろう!

歌川:「なんで生きてないとだめなの?」「なんで死んじゃだめなの?」「なんで殺しちゃだめなの?」っていうような、人間の根源的なところが正面衝突しちゃってる作品を書いてる人って、大体えんせい的になるんだけど、この人はならないんですよ。人間のキラキラしたところも同時に見ようとしてて、それが混在しているのに矛盾してないの。だから誰にでも書けるものじゃなくて、あなたにしか書けない!

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世紀末さんのブログ記事:『殺カレ死カノが実写映画化します』より


カメオ出演で知ってる人が「おっ!」てなってくれたら面白いな


歌川:脚本のチェックは著者のところに行くよね? どうだった? ほら、原作読む限りでは大抵の話は「登場人物2人」みたいな感じじゃない。

世紀末:来ました。この「殺さない彼と死なない彼女」の中には三つお話が入ってて、それぞれ独立した別の世界での出来事を書いているんですけど、映画は本とはまた違う楽しみ方をしてもらえるかなって思ってます。

――世紀末さんは撮影には行かれますか?

世紀末:何日か行くかもしれません。私自身が出るシーンがあって。

歌川:あ、カメオ出演するんだ。世紀末さんって顔出しはしてるんですっけ?

世紀末:してます。全然隠したりしてないので、知ってる人が「おっ!」てなってくれたら面白いなって思って。

歌川:私の場合は出演しますかって聞かれたんだけどやめますって言っちゃったの。いや、ほら、私の場合、自分の実話じゃない? 自分の役を太賀くんがやってくれてるのに、私が私じゃない人の役で出たらなんか嘘くさくなるなと思ってやめたんです。だからフィクションだったら私も出たい。

世紀末:確かに(笑) 世界観がよく分からなくなりますよね(笑)

歌川:だから、ツレちゃん(歌川さんのパートナー)も出たいって言ったんだけど「ダメ!」って言ったの(笑)

世紀末:(笑)

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歌川さんのブログ記事:『ワタクシは映画に出るのか出ないのか』より


キラキラした「人間が大好き」っていうところがちゃんとあるから


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――歌川さんの本を読んだ感想を教えてください。

世紀末:(ページをめくりながら)本当に愛を描いてるなって感じました。ずっとお母さんの顔が見えないじゃないですか? この描き方は……

歌川:虐待されている子って虐待されている最中の親の顔を覚えてないんです。毒親本で親の顔が鬼みたいに描かれていると、私から見たら嘘くさくて……かといって無表情でも嘘くさいんだよね。

世紀末:顔を見てないのかなとも思ったんですけど。

歌川:たぶん、そういうことなんだと思う。顔を見ている場合じゃないんだよね。あと、記憶から消そうとしちゃうところもあるし、どんな顔を描いてもどうしても嘘くさくて。だからもう顔描くのやめちゃおうって思ったの。その方がリアルになるだろうってね。でも映画になった時にね、そういうわけにはいかないから吉田羊さん苦労しただろうなと思うんです。

――世紀末さんの本はどうでしたか?

歌川:みんなそうだと思うけど、ラストのところで思わず感極まってしまって。死なない彼女はそれまでも生きること、死ぬことに関して彼女なりに考えているんだけど、最後のところで変わっていく感じが伝わってきて。人生っていろいろなことが起きるけど、こういうことに繋がっていくんだな、と鮮明というか胸に迫ってくる話で、読んで泣きました。

世紀末:えー。うれしい……。まさかそんなに読んでくれていると思ってなかったんで。

歌川:読むよ。タイトル見ただけで読むよ。

世紀末:ほんとですか? ちょっととっつきにくいタイトルなんで。物騒な感じだから親も最初はちょっと嫌な目で見たんです。

歌川:このタイトルに引かれざるを得ない種類の人間いるじゃない。実際、私だってそうだよ。女の子の闇をたっぷり吸ってて、しかも結構なところまでこじれてるのにキラキラした「人間が大好き」っていうところがちゃんとあるから、私の世代とかも良い話だって思えるんじゃないかな。

世紀末:私、書いている物がこんな感じで、歌さんが言ったように闇が深く見られるから、家庭も複雑なんじゃないかって言われたりすることがあるんですけど、私が勝手にこじれてるだけで、よく片親だと思われているんですけど、両親は本当に仲が良くて、最近も二人で旅行に行ったりしてるくらいです(笑)

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世紀末さんのブログ記事:『もうダメだ!暴力しかない!』より


大抵の事は親は分かろうとしてくれるのよ


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世紀末:歌さんはなんで絵日記を描こうと思ったんですか?

歌川:リストラされて、書籍を出すような人間にならなかったらどこにも再就職できないような状態だったからかな。どこに就職してもリストラの危機はあるし、自分で何かを売っていく生活をしなくちゃって思って。

自分が売れるものを考えた時にネタしかないって思ったんだけど、字で書いたんじゃ伝わらないと思ったのね。

世紀末:分かります。私も字だけじゃ弱くて、絵だけでもダメなんですよ。

歌川:熱伝導率というか、本までどれだけ早くたどり着くかっていうことに勝負をかけてたから、字だけじゃなくて、絵が付いてれば、わっと人が集まって来てくれると思ったのね。結局、思った通りになって1年ぐらいで本が出せたの。

世紀末:一緒です。私も就活に失敗して。私、絵を描き始めたのが、大人に褒められたいからって理由が大きくって、親から褒められたものが絵しかなかったんですよ。私は虐待を経験していないし、親は本当に愛情を注いでくれていると感じているんですけど、私の性格上、愛されても、愛されても足りないんですよね。だから歌さんの映画がメチャクチャ染みました。

世紀末さん
世紀末さんのブログ記事:『小さい頃の絵の話』より

歌川:きゃぴ子なんだ〜。

世紀末:そうなんですよ。なんか、もう本当に、絵を描いてないと見てもらえないって気持ちが強かったんです。だから美術系の大学にも行かしてもらって、お金も出してもらってたのに、結局、私はマンガを描けないって思ってしまって。

全然違う職種に行こうとしたんですが、就職もできず、親からは「就職をしなさい」って言われたんですけど、その時は親と全然話ができなくって、部屋にずっと引きこもって、ひたすらに4コマ漫画を描いてTwitterに上げてました。もう「誰か見てくれ! 誰か見てくれ!」っていう気持ちで。

歌川:ああ、じゃあ、なんか私の状況と似てたね。応援してくれる人はすぐに現れた?

世紀末:フォロワーを100人に増やそうって決めてたんですが、それは2週間以内に達成できて。だから、ああ、私はできる! ちゃんと見てくれる人がいるんだ! って思って、もう毎日、毎日、仕事もしないで部屋に閉じこもって絵を描いてました。

一度、親から「何を描いてるんだ?」って言われたんで、分かりやすそうな4コマ漫画を選んで見せたんですが、「意味が分からない」って言われてしまって……。それがすごく傷ついて。ああ、もう、理解されないんだって思って塞ぎ込んじゃって。親にはそれ以降、見せる事もなくなりました。
また部屋に閉じこもって描いてたら、KADOKAWAさんに声を掛けてもらって、ちょっとした連載のお仕事とかももらえるようになったんです。

書籍が出版される時、段ボールで家に届いて、ああ、形になったんだって思って一人でボロボロ泣いてたら親が「見せてほしい」って言ってきて。どうせ理解されないんだって思ってたら、全部見てくれた後で私の部屋に来て「こういうものを描いていたんだね」って言ってくれて、泣きながら「がんばったね」って褒めてくれたんです。それがなんか、歌さんが最近書いてた、キミツが映画を見て「よかったよ」って涙を流しながら帰って行ったのとすごい……

歌川:かぶった?

世紀末:かぶっちゃって、それでめちゃくちゃ、私は心に来て泣いたんです。

悪魔を照れさせてはいけない
歌川さんのブログ記事:『悪魔を照れさせてはいけない』より

歌川:私ずっとLGBTの人間で、いろんなカミングアウトの現場の話を聞くのよ。親ってすぐには分かってくれないんだけど、きちんと関係が結べていれば、大抵のことは分かろうとしてくれるのよね。子供は理解されないと決めつけてたけど、「同性が好きな気持ちは私にはわからない。でも同性が好きであろうと、あんたであたしじゃない、ここ(心)が大事でしょ!」みたいに親が言ってくれたって話はよく聞くよ。

マンガのことはすぐには分からなかったかもしれないけど、マンガ以外のところでは親と強く繋がり合ってたんじゃない? だからそれが良かったんだよ。


人間が好きだってことは二人とも同じだよね


――世紀末さんに質問ですが、ブログだと全く違う年代の人が見ているじゃないですか? 書く内容とかも意識したりするんですか?

世紀末:あんまり、ブログに書く内容は意識した事はないんですけど。ただ、本でもブログでも「誰が見るんだ」とか「自己満足だ」と言われた時に、私はそれに対して言い返すことができないって思ってて。なんか書くのが本当に怖くなっちゃったりもしたんですけど……

歌川:自己満足で何が悪いの?って私は思うの。たとえば最大公約数の、笑いなら笑いを狙ったものって、本当にニュートラルなものしか書けないじゃない? でも、ニュートラルなものって実は誰からも必要とされてなくて、パーソナルなものを出してるからかえって大勢の心に届くんだと思うんです。パーソナルなことをもっと書いていくべきだと私は思うんですよ。特に世紀末さんはものすごく考えているので。

あの、まあ、なにかの役に立つかっていったら、それはちょっと分からないですけど、そういうことをいーっぱい考えているんでしょ?

世紀末:(笑)

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世紀末さんのブログ記事:『2冊目の本を出せた話』より

歌川:「これについて考えました!」って世間に出していく人は批判も受けるけど、勇気があるし、世に尽くしている人なんだと思う。

世紀末:歌さんの本は、いろいろあっても幸せになれるんだ!っていうことを書いているじゃないですか? でも、一部の読者さんは「ひどい親だ」とかそういうところばっかりを見ていますよね?

歌川:私はもう52歳で、人間って、その時に留まるものではなくてどんどん変わっていくってのを分かっているから。
私も経験しているから分かるんだけど、毒親被害みたいなことでぎゅうっと痛みを抱えている人って、「人間って、こういう風に転換して黒字になっていけるんですよ」ってことを言っても届かないのよ。

だから、今の時点ではそういう印象かもしれない。でも、もう1回、たとえば5年、10年たってから読んだら絶対違う印象を持ってもらえると思ってて、ちょっと自分の心が違う方向に動き出した時に、もしよかったら思い出して読んでほしいなと思っています。

で、本や映画って、自分が死んでもこの世に残るものだからね。だから本にしたり映画にしたりするのはそういう意義があるかなって思うんです。

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歌川さんのブログ記事:『ばあちゃんに約束した』より

世紀末:歌さんが子供の頃に書いてた絵本の「悪役もみんな最後は笑って仲良くなる」って話が、もうそのまんま歌さんの今の本だから、お母さんを全然悪役として書いてないんですよ。だから、本当に、歌さんは本質は全く変わってないんだって思った。

歌川:でも、世紀末さんだって全くそんな感じだと思うよ。だってさ、きゃぴ子なんてあんなに嫌な女なのに、嫌な女なだけじゃないんだもん。地味子だって嫌なところいっぱいあるけど、良いところもちゃんと描かれてて、結局、いとおしい人達になっていくじゃない? 「君が代ちゃん」なんて本当にめんどくさいだけの女のようでいながら、キラキラした恋心が伝わってくるような女の子にちゃんと着地しているのよ。

「好きになっちゃうとそうなのよね〜」って、共感できるところもきちんと描いてる。だからね。人間が好きだってことは私達二人とも同じなんだよね。結局、人間が好きじゃないとああいう風に描けないのよ。

世紀末:そうなんですよ。私、本当に人が好きで。怖いんですけど(笑)

歌川:だから、そういうところが世紀末さんの作品のすごく好きなところなの。


映画公式サイト


映画『殺さない彼と死なない彼女』公式サイトはこちら>

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』公式サイトはこちら>


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世紀末絵日記

ゲイです、ほぼ夫婦です


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